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第97回 「東京秘仏」散策会 (08/11/03)

 コース:立川駅〜大日堂〜日吉神社〜拝島大師〜立川駅(昼食)〜上染屋不動堂〜善明寺〜大国魂神社〜正福寺

 参加者:ほーりー(幹事)、mayaさん、こばぴーさん、トンさん、摩さん、ドイルさん
正福寺地蔵堂
正福寺地蔵堂内


■東京秘仏

 毎年文化の日近辺に行われる東京文化財ウィーク。いつも充実したラインナップで、どこに行くか迷ってしまうのですが、今年は立川方面でご開帳される秘仏を一気に回ることにしました。

 そのラインナップは

大日堂
 ・木造大日如来坐像(平安後期)
 ・木造釈迦如来坐像(平安後期)
 ・木造阿弥陀如来坐像(江戸時代前期)

上染屋不動堂
 ・銅造阿弥陀如来立像(重文)

善明寺
 ・鉄造阿弥陀如来坐像(重文)

です。

 さらに大日堂の金剛力士や大国魂神社の重文狛犬(伝運慶作)、そして東京唯一の国宝建造物・正福寺地蔵堂のご開扉など、東京の隠れ名所が満載です。

 まずは何より、大日堂。

 境内に入ると、ぎゅっと胸を張り出した仁王様が出迎えてくれました。筋肉は張り詰めながらもちょっと童顔で、身体つきが少し子供っぽいところに愛嬌があります。雰囲気的には青年期に入りきらない子供といった感じかな? お寺を守っているんだという、きりっと誇らしげに結んだ口が印象的でした。

 そして石段を登り、本堂に入ると、真正面には智拳印を結んだ大日如来が! 薄暗いお堂の中でぼやっと明かりが照らされ、幽玄の気配に背筋がぞっとしました。こちらは仁王門と比べると、一転して大人の空気です。

 静かに坐り、遠い目線で、お堂という信仰舞台だからこそ感じる大日如来の存在感。フィーリングが合うというか、胸に迫るというか、両隣の阿弥陀如来と釈迦如来も含め、圧倒的な静寂に心が吸い寄せられていく気がします。

 さらにお寺の方からの説明を受けたあと、塗香で身体を清めて内陣に上がらせて頂くという大サービスまでありました。まさかこんなに近づいて見ることができるとはと、来て良かったな〜と感激しましたよ。

 また大日堂には、四天王、不動明王、伝教大師坐像なども佇んでいます。そして隣の薬師堂には薬師如来、日光・月光菩薩、四天王、十二神将もいます。こんなにたくさんの仏像が見られるとは知らず、これも嬉しい発見でした!

 続いて電車を乗り継ぎ、上染屋不動堂へ。

 こちらは善光寺式阿弥陀如来が見られるお寺ですが、11/3と1/28にしかご開帳されていないそうです(さらに雨だとレプリカ展示というドキドキの場所です)。

 細身で鼻筋の通ったスマートな阿弥陀様ですが、善光寺式の阿弥陀如来というと、観音・勢至菩薩と共に一つの光背を共有した一光三尊形式が思い浮かびます。ですのでここのように三尊が揃っていないと善光寺式かどうか見分けがつかない私としては、今回ちょっと勉強をしてみました。

 すると、阿弥陀如来が「刀印(下げた左手の人差し指と中指だけ伸ばした印相) 」をしているのが善光寺式の特徴とのこと。おお〜! 確かに刀印をしている。一つ賢くなりました!

 また他にもやんちゃな悪がき坊主風の不動明王(お不動様というより、制多迦童子(せいたかどうじ)みたいな顔です)がいて、なんか憎めなさが印象的です。

 お守りをしている地元の方からは、新田義貞がこの阿弥陀様を背負って戦ったとかいろいろ教えて頂き、大日堂の張り詰め度合いとは対照的にほのぼのとした境内で、和やか〜な気持ちになれる場所でした(ちょっと高月の観音まつりを思い出しました)。

 そして、善明寺。

 ここはある意味、今回一番インパクトの強かった仏様かもしれません。見た目の感想としては、お相撲さんです。ごっつぁんです。

 やたらと恰幅の良い身体。低い肉髻。これらは鎌倉期の宋風彫刻の特色なのだそうです。かなりの大きさ(178cm)と思ったら、現存する鉄仏では最大の坐像とのこと。その福々しさは、拝めば確かなご利益がありそうです(阿弥陀様だけど)。

 残念なのは、お堂の外側から、ちょっと遠目の拝観だったこと。このどっしりとした仏様を横から見たらどんな風に見えるのだろうと、おっしゃっていた方もいましたね。実は平べったかったりしたら、どうしましょう。

 善明寺を出ると大国魂神社で筋骨逞しい狛犬にお会いしつつ、予定よりスムーズに散策が進んだので、急遽東村山の正福寺へ。

 ここの地蔵堂は、私が東京でも最も大好きな建築物の一つです。そして11/3は地蔵祭りで特別にお堂に入れるということなので、今回は思いっきり堂内を堪能してきました。

 まずこのお堂は禅宗様式の傑作で、鎌倉の円覚寺舎利殿とそっくりな外観をしています。

 大きく反り返った屋根は極端なカーブを描いていて、少し荒々しささえ感じる威厳を誇っています。屋根下の組み物は三段重ねで組み合わされ、木枠に薄い板を入れた桟唐戸や蓮の花の形をした花頭窓、波を打った弓欄間など、禅宗様式の特徴が一つ一つ良く分かりました。

 さらにドキドキしながらお堂に入ると屋根を支える垂木が放射状(扇垂木)に広がり、裳階部分の垂木が平行(平行垂木)に伸びています。床は土間になっており、ガイドの方も一つ一つ丁寧に説明をしてくださいましたが、内部からも禅宗様式の教科書を見ているかのような、素晴らしい建物でした。

 そしてもうひとつ嬉しかったこと。本日の仏像巡りの締めくくりとして、ここにもお地蔵様が安置されています。江戸時代の仏像で、東村山市の指定有形文化財にもなっているそうです。お地蔵様なのに、なぜか近所に一人はいそうと感じてしまった、親しみのあるお兄さん風でした。

 お堂を出ると、名残を惜しみながら東村山駅へ。最後に駅前で茶話会……のつもりが、半数以上がビールを頼み、いつもどおりお寺トークで盛り上がりました。

(レポート:ほーりー)



■東京秘仏

 11月の「東京文化財ウィーク」にあわせ、11月3日でしか公開されない仏像を見てまわろう!というのが、企画の趣旨です。

 9時東京・立川駅に集合、バス「拝島大師」下車

【普明寺大日堂】・・昭島市
 ・木造大日如来坐像 ・ 木造釈迦如来坐像 ・ 木造阿弥陀如来坐像

 11/3の10時、14時の公開ですが、9時半に到着した私たちが遠方(千葉、茨城、神奈川・・)から来たことを知ったお寺の方が、10時になっていませんが皆さんこの後の予定もあることでしょうから・・と、特別に10時前にご説明をしてくださいました。

 こちらの大日如来様は像高157.5cm、平安後期作で、光背に小仏がついたとても堂々としたお姿です。塗香をして特別に間近で拝観させていただきました(感激!)

【日吉神社】・・昭島市

  大日堂の隣りにある日吉神社は、天台宗の守護社で大日堂の再興の折に建立されました。こちらのご朱印は印刷物でそっけないものでした・・(涙) 大日堂境域と日吉神社境域は都指定史跡になっています。

【拝島大師】・・昭島市

 建物がタイル張りになっていて、一見モダンな建物に見えます。中では七五三の祈祷がされていて、こっそり見学させていただきました。ここのご朱印は「経石」を千円で購入して、ご朱印をいただくシステム。ちょっと悩み断念しました・・・。

バスで立川駅に戻り昼食 → 電車移動→ 京王線多磨霊園駅下車

【上染屋不動尊】・・府中市
 ・銅造阿弥陀如来立像(重文)

 地元の人が「新田義貞が鎌倉攻めの時に背負って戦った・・」と説明してくださいました。像高48cmの阿弥陀様は、目元が涼しいすらりとした美形です。国宝指定にされた時に宝庫をつくり、5重・6重にカギを掛けてお守りしているそうです(今は重文になっています)。不動堂にはぽっちゃりとした小さめの不動明王とレプリカの阿弥陀如来が安置され、こちらは正月、5月、9月の28日に公開されているそうです。

 電車移動→京王府中駅下車

 途中で「府中高札場」を見学。甲州街道と府中街道が交差するこの場所には江戸時代、法度、掟書、犯罪人の罪状を人々に知らしめるための板札を掲げてあったそうです。

【善明寺】・・府中市
 ・鉄造阿弥陀如来坐像(重文)

 なんと特徴のある仏様でしょう・・ 雪だるまのような、大福を重ねたような(失礼な!) ぽっちゃり系の阿弥陀様です。阿弥陀堂の外からの拝観なので、じっくり見ることは出来なかったのが残念です。正面からはレリーフのような印象だったので、ぜひ、背面から見てみたかったです。

【大國魂神社】・・府中市
 ・木造狛犬(重文)

 七五三の装いをした家族が大勢いて、とても賑やかでした。宝物館(300円)に目的の狛犬がいました。説明書には「鎌倉時代・運慶作(伝)」とありますが、いずれにせよ、筋肉たくましい迫力のある狛犬さんでした。

 電車移動→西武新宿線東村山駅下車

【正福寺】・・東村山市
 ・地蔵堂(国宝)

 この日は「地蔵堂まつり」が開催され、多くの人で賑わっていました。鎌倉・円覚寺に似た唐様建築。屋根の強い反りは、見ていて気持ちいいものでした。内部の梁や花頭窓など趣のある、見ていて飽きないお堂です。16時に戸が閉まり、お地蔵様と一緒に1年の眠りにつきました。

 その後、東村山駅に戻り、茶話会後散開となりました。

(レポート:ドイルさん)



■東京秘仏

 ほーりーさんのすばらしいレポートの後で、ほとんど述べる事がないのですが…。拙いながら、特に印象に残ったものの感想です ><

大日堂
・仁王様:がっちりというより、ちょっとむっちり? でちょっとかわいい印象。とはいえ、足の甲に浮き出た血管が力強い感じで、素敵でした。(フェチ?)

・本堂:木造大日如来坐像/木造釈迦如来坐像/木造阿弥陀如来坐像

 中に入るとふんわりとお香のいい香りが。それだけでわくわくしてきます。ニット帽が似合うおじいちゃん住職さんに塗香をいただき、如来様の側まで上がらせていただきました。さすが秘仏ご開帳。こんなに間近で見られるなんて感激です! 中央の大日如来はまさにパワーを発している感じでした。

上染屋不動堂
・銅造阿弥陀如来立像;銅造というだけあって、ツルっとなめらかでシャープな印象でした(ほーりーさんの刀印のお話、なるほど! ですね)。

・おまけ:本堂に飾られていた「絵心経」(般若心経の漢字一文字一文字を絵文字で書き表した布)が、携帯の絵文字の原型みたいで、面白いなと思いました。

善明寺
・鉄造阿弥陀如来坐像:ひとことで言うなら「栗!」どっしりとして何でも受け入れてくれそうな(笑)友達になってほしい仏様でした。

 自分だけだと、一日でこんなに巡るのは途中で挫折してしまいそうですが、みんなで、というパワーで充実した一日となりました。移動中に皆さんのマニアックなお話が聞けて、とても興味深かったです! また機会があったらいろんな企画に参加したいと思います。ありがとうございました。

(レポート:トンさん)







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