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第60回 「冬の鎌倉・金沢街道」散策会(08/02/10)コース:覚園寺〜杉本寺〜浄妙寺〜報国寺〜鶴岡八幡のぼたん園〜茶話会参加者:美山さん(幹事)、ぐりぐりさん、ゆきみどさん、理子さん、日の出さん イラスト:ぐりぐりさん ■鎌倉金沢街道 今回のテーマは「仏像・庭園・ウォーキング」。別名「正月太り解消ツアー」。当日はてくてく歩きにもってこいの、お天気に恵まれた一日でした。 10時20分、京急バス4番乗り場に集合。〔鎌・20〕大塔宮行きバスにて覚園寺へ向かいます。乗車10分も経たないうちに終点大塔宮着。鎌倉宮では骨董市が開かれ賑わっていました。渋い渋い門構えの家々を見物しながら、緩やかな坂を歩く事10分少々で覚園寺山門に到着。 覚園寺、寺僧案内の拝観ツアーは予め時間が決まっています。私達は11時の回に参加しました。愛染堂で説明を聞き、いよいよ境内へ。拝観料は300円。リスがいたり、樹齢800年の樹が藁葺屋根の薬師堂を見守るように生えていたり、福寿草・梅・椿が咲いていたり、と写真を撮りたくなる風景が沢山あったのですが、境内写真撮影禁止。記憶に留めるべく、逆にかなり集中して物を見たように思います。 国重文指定の木造薬師三尊像は綺麗なお顔の見事な像でした。解体しないと持ち出せない程大きいので、他へ貸し出した事はこれまで無いとの事。「今、ここ」でしか観られない、と眼全開、脳フル活動で拝観しました。ぐるっと囲むように置かれた十二神将達は薄暗がりの中、水晶の眼光鋭く大きめなので迫力がありました。他にこちらでは、川端康成氏が大変気に入っていた阿弥陀仏などを観ることができます。 ツアーは後、江戸時代の庄屋屋敷や十三仏やぐら、何度塗りなおしても真っ黒になる黒地蔵を回り終了。徒歩にて杉本寺へ向かいました。 杉本寺は鎌倉最古のお寺で坂東一番霊所。源頼朝寄進の十一面観音像もあります。圧倒される数の奉納旗や千社札(江戸時代の物だそうです)、絵馬がところ狭しと納められていて、渋い小さなお寺なのですが、ものすごく賑やかな気配でした。私は伝・運慶の観音三十三身仏が印象的で面白く、一体ずつ姿の違いをじっくり観て過ごしました。不動明王・地蔵菩薩・十一面観音などなど、こちらでも立派な仏像を堪能することが出来ました。 昼食場所へ移動中、滑川にやたら太ったカラスが水浴びに飛来。見物しようと川を覗くと川には沢山の錦鯉(こちらも太っている)や獲物を狙う白鷺の姿が。古都鎌倉の豊かな自然を感じました。昼食は浄妙寺近くのGENという洋食店。カウンター奥に流鏑馬神事的中で割れた板があり、伺うと「お店が当たるようにという縁起担ぎなんです。」とのこと。さすが武士の都、鎌倉… サービスで食膳酒にロゼが出てきました。お食事は上品かつボリュームがあり、アツアツだったので満足感と共に冷えた身体がとても温まりました。おススメのお店です。 浄妙寺へは、事前拝観予約して行きました。こちらの肖像彫刻の傑作‘退耕行勇坐像’は研究者・団体予約のみ拝観可、だからです。今回5名で団体としてはぎりぎりでしたが、念願かなって拝観出来、方丈にも上げて頂けました。ご本尊の釈迦如来坐像はキリッとして引き締まったお姿。保存の状態がものすごく良いため、光背の金や色彩が非常に鮮明に残っていて大変に美しい像でした。あまりの美しさに一行しばし心を奪われその前から動けなくなる、という事態に。他、江戸時代の淡島明神立像や阿弥陀如来立像などを拝観しました。 報国寺では有名な竹の庭にてお抹茶を頂きました。すでに日が翳り、風もひんやりしていましたが、立派な孟宗竹と流れ来る水音に心が癒されました。その後希望者で鶴岡八幡のぼたん園へ。運良く、正月ぼたんは丁度見ごろ。藁囲いの中で大輪の花を咲かせていました。青鷺の遊ぶ源平池をバックに満開の牡丹ロードを歩きましたが、本当に華やかで美しく別世界にいるような一時を楽しみました。 最後、茶話会ではぐりぐりさんのイラストや日の出さんの御朱印帳を見せて頂き、盛り上がりました。ぐりぐりさんおススメ‘かまくらカスター’をお土産に買い解散。「正月太り解消」は? でしたが、沢山の仏像と美しい自然に接した素晴らしい冬の鎌倉の一日となりました。 (レポート:美山さん) ■鎌倉金沢街道 当日の天気予報は晴れでしたが、前日の夜に外を見ると雪が降っており、散策に雪の影響が出るのではないかと心配していました。しかし、電車も時間通り動いてましたし、覚園寺に向かうバスから外を見ても雪はほとんどありませんでした。鎌倉ではほとんど雪は降らなかったようです。 集合時間の少し前に集合場所に着くと、美山さんと理子さんが既におられ、お二人と挨拶をしました。ほどなく、ぐりぐりさん、ゆきみどさんも来られました。全員そろったので、バスで覚園寺に向かいました。バス停「大塔宮」で下車し、そこからは徒歩。覚園寺に着くと既に愛染堂の前でお寺の方の説明が始まっていましたが、「今、始めたばかりです」ということで最初から説明してもらいました。覚園寺は自由に境内を散策するのではなく、お寺の方の案内に従って境内を巡るようになっています。 まずは本堂へ。私個人の本堂でのお目当ては十二神将です。覚園寺の十二神将は、少なくとも東日本では一番だと思っています。像自体も大きいですし、それぞれの像の決めポーズもかっこいいです。本堂では建物の説明、仏像の説明があり、また質問にも親切に答えてくださり、得ることが多かったです。その後も、十三仏、黒地蔵尊の説明や境内に咲いている草花の説明などがあり、約50分ほどの説明時間があっという間に過ぎた気がしました。 次は杉本寺へ。有名な苔むした石段はよく見るとかなりすり減っており、歩行禁止にするのも分かります。杉本寺は鎌倉最古のお寺なので「この石段を源頼朝も歩いたのか」など、石段を見ながら色々想像するのも楽しいです。杉本寺の本堂内では、覚園寺と同様に多数の仏像を拝観することができます。私個人は杉本寺に何度も訪れていますので、特に目新しいところはなかったですが、今年初めての訪問なので、杉本観音様に少し遅いですが新年の挨拶ができたかなと思いました。 昼食をとった後、浄妙寺へ。今回訪れたお寺の中で一番印象に残ったのが浄妙寺です。私は以前に浄妙寺を訪れたことがありますが、本堂で外からお参りをして、庭を少し見て、ご朱印を貰って終わりだったので、見るべきものがそれほどないお寺というイメージを持っていたのですが、今回でそのイメージはがらりと変わりました。 まずはお寺の方に収蔵庫を開けて貰い、退耕行勇坐像を拝観しました。まるで生きているような像でした。昨年、東博の「京都五山 禅の文化」展で見た像を思い出しました。また退耕行勇坐像の隣に明王のような像があったのですが何の仏像か分かりませんでした。家に戻り、頂いたしおりをよく読むと三宝荒神立像だと思います。臨済宗のお寺に密教を代表する明王の仏像は普通ありませんね。次は本堂の中に案内してもらい、本尊の釈迦如来坐像、観音菩薩立像、淡島大明神立像を拝観しました。釈迦如来坐像は本当に素晴らしかったです。浄妙寺にこんな素晴らしい仏像があるとは全く知りませんでした。 報国寺でお寺の方に鎌足稲荷神社を紹介してもらったので、浄妙寺の奥にある鎌足稲荷神社に行きました。鎌倉の地名の由来の一つに数えられるところです。そして報国寺へ。報国寺は竹の庭で有名です。茶席で抹茶を飲みながら竹の庭を観ました。その後、希望者で鶴岡八幡宮のぼたん庭園を鑑賞し、駅前のお店でケーキを食べながら談笑しました。 今日お会いした皆さんとは初めてお会いする方ばかりでしたが、随分前から知り合いのように散策することができ、とても満足しました。また一緒に寺社巡りができる日を楽しみにしています。 (レポート:日の出さん) ■鎌倉金沢街道 鎌倉は仏像を公開していないお寺が多いのですが、今回の散策ではたくさんの仏像を拝観でき、とてもお得な一日でした。中でも浄妙寺、事前予約団体のみ拝観可の「退耕行勇坐像」と本堂の仏像群は、この会に参加したおかげで拝めた本当に立派な像でした。一番印象に残っています。 覚園寺では雪にぬかるんだ道に気をつけながら、鎌倉時代から時が止まっているような雰囲気あるお庭と建物を案内していただきました。薬師堂の薬師如来三尊は、鎌倉の仏様にしては大きく堂々とした姿で、ずっと上からこちらを見下ろしています。宋風を取り入れているためか、大きくてもどこか可憐なところがあり、特に向かって右の日光菩薩は女性的。堂内を囲む十二神将も大きくて立派でした。硬い岩盤を掘って造った「やぐら」の中には十三仏が彫られており、ろうそくの明かりで照らされ神秘的でした。 次の杉本寺は鎌倉最古のお寺だけあって、仏像たくさん。本尊の十一面観音三像は遠くにあって暗くてよく見えませんが、ほかにも十一面観音・毘沙門天・地蔵菩薩・観音三十三化身像などなどずらっと並んで密度の濃い本堂でした。それも作者名を見ると「行基作」「運慶作」「快慶作」などそうそうたる顔ぶれです。参道のすり減った石段が、これまでの参拝者の多さを物語っていました。 浄妙寺では事前に予約をしていた「退耕行勇坐像」を拝観させていただきました。浄妙寺は何度か訪れたことがありますが、本堂の中には入れず、外からうかがっても何も見えず、お庭と猫しか印象にありませんでした。今回は特別に本堂裏にある収蔵庫を開けてもらい、南北朝時代の頂相の傑作とご対面。顔の皺や、首筋の引きつった皮の描写など、老僧侶の容姿が生き写しです。そこへお寺の猫「ももちゃん」(本名桃太郎)がやって来て、一緒に拝観?しました。 その後本堂の中へ上げてもらい、本尊の釈迦如来坐像など居並ぶ仏像を見せていただきました。外から見えなかった本尊は、きりっと上がった目元にがっしりした体格の凛々しい姿で、全身黒い中に白い玉眼が光り、とても素晴らしい像でした。南北朝時代の作とのことですが、整った顔立ちや自然な衣の流れが鎌倉時代の慶派かと思わせる出来で、目が離せません。ずい分長い間本堂で見ていたと思います。 鎌倉のお寺は、創建した武士が自分だけ中へ入って拝むことを前提にお堂を建てているため、外から本尊が見えないように造られているということを初めて知りました。それでいつも見えないんですね・・・。 最後のお寺報国寺で、竹林の中にある茶席でお抹茶とお菓子をいただきつつ、太い竹を鑑賞しました。帰りに鶴岡八幡宮のぼたん園で豪華なぼたんを楽しみ、お茶をして解散しました。 今回もこりずに浄妙寺の本尊・釈迦如来坐像を記憶スケッチしてみました。合っているのかどうか、何とも怪しいですが、参加した皆様いかがでしょうか?? 参加した皆様のご希望通り「ももちゃんも入れてください」とのことでしたので、むりやり入れてみました。ご期待に添えたでしょうか?(^^;) (レポート:ぐりぐりさん) |
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