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第25回 「叡山・坂本ツアー(比叡山歩け歩けツアー)」散策会(05/10/22〜23)

 コース:10/22 横川→峰道→青竜寺→西塔→東塔→延暦寺会館、10/23 朝のお勤め→東塔→無動寺谷→鶴喜そば→正源寺→滋賀院門跡→日吉東照宮→日吉大社→旧竹林院→西教寺
 参加者:11名

■横川

 横川は人が少なく、森閑とした雰囲気を感じました。比叡山のはずれというイメージがありましたが、なかなかいい雰囲気で、心を落ち着けて参拝することができました。その後、おみくじの始まりといわれる元三大師もお参りしました。

■峰道

 1日目の昼食は横川参拝の帰途、バス停峰道で下車し展望レストランを利用しました。ここは琵琶湖眺望の名所でもあります。駐車場横には大きな伝教大師最澄様御尊像が建っています。見上げて拝見したところ、日本史の教科書に載っていたのと同じお顔で、なんだか懐かしい思いがしました。

■青竜寺

 峰道レストランで食事を済ませたあと、奥比叡山ドライブウェイを少し下ると、左側にはいる道がありました。次に私達が向かう青竜寺へのくだり坂です。20分位、木立ちに囲まれただらだらとした長いくだり坂を歩いて行き、両側がスロープになっている階段を下りるとそこが青竜寺でした。

 書物によりますと、青竜寺は天台座主慈恵大師良源僧正(911〜985)の創建と伝えられ、地名の由来は大黒天の霊地で、大黒滝があって大黒谷と呼ばれていたが、いつの頃か黒谷と言われるようになったとのです。また、法然上人が18才の時に叡空上人を師としてこの地にこられて、以来25年にわたり修行された所で、本堂には阿弥陀如来・釈迦如来・観音菩薩・叡空上人・法然上人の像が安置されており、法然上人二十五霊場の番外とされているとのです。

 私は長い階段と上り坂を克服するためにお先にお寺をあとにしましたが、参加された皆様と合流したあと、ご朱印をお願いしたところ、尼僧が色々とお話をされてご朱印の手が止まられたこともしばしばあったとお聞きました。お話を聞けなかったのが非常に残念です。また、郵便配達の人がお寺に荷物を取りに来て、帰りはソリの様な物に荷物をつみ、階段のスロープ部分を引いて登って運んでいったとも聞き、帰り道を思い出し頷いてしまいました。

■西塔

 峰道レストランに戻り、次のバスまでレストランのお土産屋で時間を過ごし、西塔に向かいました。

 バスをおりてしばらく歩き共通チケットを見せて釈迦堂に向かう道を行くと、かすかなうめき声? が聞こえてきました。そのまま常行堂と法華堂の前を通ったところ、只今修行中に付き静かにして下さいと記載された看板が立っていました。確かに修行中のようでした。階段をおり、恵亮堂の前に差し掛かりますと、同じような看板が立っていました。修行の地に相応しい様子を感じました。

 書物によりますと、釈迦堂は天台宗の祖・伝教大師最澄自作の釈迦如来を本尊として、天台建築様式の代表とされる比叡山内最古の建物と言われております。また比叡山における弁慶ゆかりの地といわれ、左右同じ形に作られた常行堂と法華堂の渡り廊下でつながれている部分を弁慶が担いだといわれ、二堂は「弁慶のにない堂」とも言われているとのことです。

 私達は釈迦堂をお参りして、伝教大師の御廟である浄土院をお参りして(庭しか入れませんでしたが)西塔をあとにしました。

■延暦寺会館

 このツアーでは比叡山延暦寺会館に宿泊しました。

 延暦寺会館は天台宗開宗1200年慶賛大法会記念事業として改修工事が行われ、今年9月にリニューアルオープンしたばかりです。すべてが新しくてきれいでした。従来の宿坊というよりも、ホテルの仕様です。フロントに売店、ロビーには喫茶室があり、お食事処「望湖」、大浴場、客室、いずれからも琵琶湖とその先の山々の眺望が見事でした。

 夕食は精進料理で、湯葉を中心に季節の野菜やキノコを使った揚げ物や煮物、ゴマ豆腐、湯豆腐などが彩りよく延暦寺の御紋が印された朱塗りの器で供されました。おいしくて品のよいお料理でした。

 食事をいただきながら7名で精進料理談義、宿坊体験、寺社参り談を愉しく交わしました。客室は和室でトイレと洗面所、窓側に板の間が付いており、TV、電話、金庫、アメニティとしてはタオルと歯ブラシ、バスタオル、浴衣の用意がありました。夕方部屋に入ったとたん、大きな窓から見える琵琶湖を遥かに見下ろす雄大な景色に皆で歓声をあげましたが、夕食後部屋に戻って目にした夜景には、さらに感嘆の声をあげてしまいました。

 琵琶湖畔の街々の灯と琵琶湖大橋の灯、さらに部屋の電気を消して見上げた夜空の月と星。しばらく見入ってしまったほどです。大浴場の設備もよく整っていて快適でした。

 翌朝は6時に館内放送で根本中堂での勤行の案内があって目覚め、6時15分にロビーから出発。秋の山の凛とした空気を味わいながら歩くこと3分、根本中堂に着きました。

 他の宿泊者と共に外陣に座り、荘厳な声明の響く中、一段低く作られた内陣に安置された仏さまと不滅の法灯を拝ませていただきました。参拝客が到着する前の静かな東塔の散策という、宿坊泊の醍醐味を味わいました。

■朝のお勤め

 「おはようございます 延暦寺会館のご起床の時間でございます」と午前6時の館内放送で叩き起こされる。でも10分前からスイッチが入れられ、電波音が微妙に聞こえてくる。その音で起きるような仕組みかもしれない。

 外は生憎の小雨模様。でも玄関に沢山のビニール傘が用意されてあるので大丈夫。ひんやりした朝の空気は気持ちがいいです。ぞろぞろと根本中堂に入る。朝のお勤めは一般人としては比叡山会館に宿泊しないと参加できない。前のほうに陣取り、お坊さん達を待つ。やけに内陣が明るい。勤行は多種に渡る。三禮や唄らしい感じのお経、如来神力品21、般若心経、本尊真言、他で約30分くらい。

 その後、お坊さんのお説法を聞く。本日のテーマは「忘己利他」。「もうこりた」と読む。「自分より人のために尽くしなさい」という意味である。

 内陣が明るいのは、今月は天台宗開宗1200年慶讃大法要期間なので、いろいろな宗派の会合や式典があるので、ライトアップしているそうである。 お坊さんのお話の後は、自由解散なので内陣をよく眺める。式典用の生花やお供物がたくさん上げられているので、3m低い内々陣がますます見えない。不滅の灯明も花の影で見にくい。

 普段は仄暗いので雰囲気出ているはずですが(間近で見たい場合は、滋賀院門蹟に引退した? 灯篭がありますので、ゆっくり見せていただきましょう)。

 外に出ると雨が上がっている。あちこちで作務衣姿のお坊さんが掃き清めていた。「おはようございます」の挨拶がとても清々しく感じられた。朝8時半から全山放送で朝礼をやる。掃き掃除に勤しんでいるお坊さんは手を止めなかった。各職員はそれから配置についてお掃除等開始。朱印・お守り授与所はそれから開かれるので、すぐに頼むと断られる。

■東塔

・根本中堂
 今月は式典月間のため、日中はゆっくり拝観できない。中に入るのも憚れる感じがする。比叡山と言えば根本中堂なので、いつも参拝者で賑わって? いる。

 本尊は薬師如来、釈迦如来、阿弥陀如来。それらを1200年間消えることなく照らし続けている「不滅の法灯」の灯篭が3つ。織田信長の焼き討ちで一時は消えたが、山形の立石寺に分灯してあったものを、また分灯したそうだ。

・万拝堂
 「一隅を照らす会館」にくっついている。金ぴかの仏様が座している。ちょっと異国風。その周りを十二支守り本尊がぐるりと……。大きな数珠をまわしながら一周するようになっている。ご自由にお持ちください、と書かれた台の上には何が置かれていたのだろう?

・法然堂
 延暦寺会館から下ったところに位置する。故に行きはよいよい、帰りは……。8時半前に着いたので、不在だったと思われる。ここの職員の方は毎日、坂本から徒歩で登ってくるそうだ。それも45分で!

・大書院
 普通の人は入れない。外務省のVIPレベルでないと…。どなたかコネないですか?

・文殊楼
 楼門の上に文殊菩薩がおられる。急な階段というより梯子を上る。なかなか怖い。

・大黒堂
 三面大黒天が祀られている。

・大講堂
 初代天台座主が開いた学問道場。堂内にはここで学び、一宗一派を立てた法然、親鸞上人達の木造と肖像画がまつられている。堂の前には開運の鐘がある。

・戒壇院
 重厚な建物。天台宗の僧が大乗僧になるための受戒する道場。非公開なので、中はちょっとしか見ることができない。

・法華総寺院
 東塔、阿弥陀堂、潅頂堂、寂光堂とあるが、阿弥陀堂以外は立ち入り禁止。比較的新しく朱塗りで建ち並んでいるので、派手な一角に思える。

・比叡山国宝殿
 見学していない。入場料は別途。

・浄土院
 東塔と西塔の中間にある最澄の廟所。非公開。比叡山は坂や階段が多いので、日ごろから足腰を鍛えておきましょう!

■無動寺

 無動寺は不動明王を御本尊にする寺院です。不動明王と一体化になる行・回峰行の根本道場として有名です。大きなお堂ではありませんが、とても存在感のある場所です。堂内は薄暗く、小さな蝋燭の向こうに微かにお不動さんがいらっしゃるのが見えました(他にも仏像はあったのですが、なんせ眼が悪いので全然わからない・・)。

 そしてなんといっても護摩を修する場なので、堂内の煤けた感じが私は心地よくてたまりません。今回は雨で濃い霧の中でしたが、私の中で「お不動さんと雨」は最高な組み合わせだったので、すごく満足な散策となりました。(でも凄く寒かった)

■鶴喜そば

 ツアー二日目の昼食を「本家・鶴喜蕎麦」でいただきました。享保初年に創業の老舗蕎麦店で、延暦寺に京都御所からの御来賓があると歴代店主が山上に出仕していたそうです。また、昭和天皇御崩御まで宮中年越し蕎麦は鶴喜だったとのこと。

 歴史を感じさせる建物や、昔ながらの製法のしっかりとしたコシのある手打ちそば、比叡山巡りの疲れをさっと回復させてくれるような濃厚な栄養たっぷりの蕎麦湯を食せば、比叡山の断食行を終えた修行僧のみならず、皇室、参拝客等多くの人々に愛され続けてきたことに合点がいきます。歴史のみならず、蕎麦好きの方も満足できるお勧めのお店です。

■正源寺

 正源寺のある場所は伝教大師のご誕生地で、門を入ると右手に見える産湯の水を汲んだという「産湯の井戸」が当時を偲ばせるものがあります。後に寺が建てられ、ご本尊は十一面観世音菩薩で慈覚大師作と伝えられています。

 また、伝教大師の父三津首百枝公と母藤原藤子妃のご尊像が祀られています。とはいえ寺内は、週末行われている書道教室のお習字が壁面に飾られていたり、温かいお茶を歩き疲れた我々に出して下さったりと、地域に溶け込んだ親しみのもてるお寺でした。

 織田信長の軍勢が押し寄せた(叡山焼き討ち)際に、緊急事態を知らせるために土地の人が乱打したためひびが入ったという釣鐘「生源寺の破鐘」は、現在JR坂本駅北側の「坂本石積みの郷」公園に保存されていますが、JRのホームからも若干離れていますが眺めることができます。

■滋賀院門跡

 天台宗比叡山延暦寺の里坊を代表する門跡寺院滋賀院は延暦寺の本坊で、江戸時代まで天台座主の居所だったため、現在でも滋賀院門跡と呼ばれている。

 もともとは比叡山焼き打ち後の復興に力を注ぎ、徳川家康、秀忠、家光の三代将軍に仕えた慈眼大師天海に、後陽成上皇より歴代天皇の授戒の寺として有名だった京都北白川の法勝寺を元和元年に下賜され、この地に移築されたもので、明暦元年後水尾天皇より滋賀院の寺号と寺領一千石を賜り、江戸末期まで天台座主だった法親王が代々住んでいた。

 前の建物は穴太衆積み石垣の上に白壁が続く「滋賀院御殿」と呼ばれた建物だったが、 明治十一年の火災ですべてが灰となってしまった。

 現在の建物は延暦寺山上より三塔のそれぞれ最高の建物を移築し、明治十三年五月に復旧されたものである。延暦寺本坊だから毎日開けておく必要があり、それではと昭和の末ごろから一般公開されるようになった。二万平方メートルの敷地に内仏殿、宸殿、書院などがあり、国の名勝に指定された名庭園も見どころ。境内には慈眼大師の廟所である慈眼堂だけは庭からの拝観となる。

■日吉東照宮

 日吉東照宮は、あの有名な日光東照宮の雛型として造られたものだそうで、その豪華さは西日本随―といわれ、関西の日光として知られているそうです。

 訪れる人は少ないようで、この日は私達だけでしたが普段公開していない東照宮内部も公開されていましたので、靴をぬいで上がらせて頂きました。徳川家康を祭る神社で「権現造り」発祥の社とのことで、御祭神は三柱で中央に徳川家康公、右に日吉大神、左に豊臣秀吉公が祀られていました。

 社殿は総黒漆塗りで、現在はかなり色あせていますが絢爛豪華な極彩色が施されています。 私はまだ訪れたことがないので、この後に完成された日光東照宮にもぜひいつか訪れて見比べてみたいと思いました。

■日吉大社

 日吉大社は俗に「山王権現」とも称され、東・西両本宮を中心に数多くの社が広大な境内に鎮座しております。東本宮は古事記にも登場する神代の昔より、比叡山に鎮坐する地主神であります。

 そして、この東本宮御祭神の荒御魂をお祀り致しておりますのが荒御魂三宮宮であります。三宮宮には高さが約10mの金大巌という神の依り代(磐座)があり、社殿のない時代には、朝日によって黄金色に輝いていたといわれております。

 ・・今回の散策ではこの金大巌に行けなかったので、今後機会があれば是非お参りしたいと考えております。

 さて一方、西本宮は天智天皇7年に大和国三輪山に坐す、大己貴神を大津京の遷都に当たり勧請し、大津京をはじめ、国家鎮護の神として祀られました。又、日吉大社が京都の表鬼門に当たりますので、国家鎮護・方除けの神として祀られ、さらに天台宗(比叡山延暦寺)の護法神、或は加護神として祀られております。

 昔の建物は織田信長の焼き討ちによって総て灰燼に帰し、それ以後の再建であり桃山・江戸初期のものであります。又、明治の神仏分離に伴う廃仏毀釈により仏教施設が除かれて、現在の景観となりました。

 中世以前の古絵図には広い神域に根本多宝塔、彼岸所等が描かれており、当時の姿をうかがい知ることができます。・・・感想ですが、実はほんと言うと私の場合、今回の叡山散策で一番良かったのがこの日吉神社です。

 というのは、ちょうど昼間雨降りで鬱陶しい感じの天気だったのですが、この社の鳥居をくぐった瞬間に、「ちょっとびっくり」鳥居の外と中の感じがなんか違うような感じに思えたのであります。

 神聖な場所に変わったというか・・。

 また、東・西両本宮等社を順繰りに参拝して行ったのですが、各社殿にはどんな神様がお祭りをされているのか詳しく知りませんでしたけど、なんか神々しいというか骨太の清浄さというか、そんな感じがしてとても爽快なお参りが出来ました。また、是非とも参拝したい神社であります。

■旧竹林院

 竹林院は"里坊"とよばれる延暦寺の僧侶が高齢となった後、山麓に賜った隠居所の一つだそうです。今でも数多く残されているそうで、初めて知りました。。

 3300uの庭園と大正時代に建てられた二棟の茶室、東屋があります。今回比叡山の山頂では風雨に遭遇し、とても寒かったので、昔の年老いたお坊さまにはさぞや身体にこたえてお辛かったのではと想像できましたので、麓にあるこの竹林院ではゆっくりと流れる時間の中、余生を癒されたのではないでしょうか。。

 緑がふんだんに取り込まれた美しい庭園を見ながら、参加者の皆さまと談笑できた時間がとても心やすらぐひとときで和みました。お抹茶を注文していただきながら庭を鑑賞する、という風流なこともできるようです。。

 四季折々にまた訪れてみたい、ホッと一息できるおススメ癒し空間でした。

■西教寺

 西教寺は天台宗盛宗の総本山であり、全国に約400ほどの末寺があります。坂本の中では西教寺だけが離れた場所にあるのですが、ここはぜひ訪れたいところです。

 一時は荒廃した西教寺ですが、明智光秀により復興されたことにより、お寺には光秀ゆかりのものが数多くあります。今回のツアーの最後を飾るのにふさわしい西教寺でした。

(レポート:参加者の皆さん)



■関連リンク

延暦寺会館






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