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お経を筆で書き写す意味

写経に求められているものは?

 印刷技術の発達した現代では、少なくとも奈良時代のように経典を増やすためにお経を書き写す人は誰もいないでしょう。お経の本は書店にたくさん売っていますし、インターネットでダウンロードすることもできます。

 ならばなぜ写経をするのか? それは書き写す行為そのものや集中して書く時間に意味があるのだと思います。

 実際に写経中の無心になれた瞬間や、終わったあとの達成感がクセになるという方は多くいます。文字を打つのに携帯やキーボード、書類はコピーで丸写し。筆はおろか鉛筆さえ持たなくなった今だからこそ、写経には全く新しい役割が求められているのでしょう。

 本格的な写経では、身を清めるために丁子(ちょうじ)を口に含み、塗香(ずこう)を手にすりこみ、香炉をまたぐこともあります。そこまではいかなくとも、硯で擦られたほのかな墨の香りは、これから文字を書くぞという引き締まった気持ちにさせてくれます。

 墨を充分に擦ったら筆を整え、一文字一文字真摯に向かい合う。一つの文字が一人の仏とも言われる写経ですが、心が乱れれば直ちに文字も乱れるシビアさは、パソコンや携帯電話に慣れた生活には忘れ去られた集中力を必要とします。

 般若心経であれば二百六十二文字。書き写された文字が少しずつ用紙に埋まることが、いとおしくすら思えてくるのが不思議です。

 時間にすれば、早い人で30分ほど。長い人は2時間近くかけて写経をする人もいます。丁寧に、丁寧に。一文字ごとに息をつき、立ち止まることで見えるもの。

 写経はきっと知らなかったあなた自身を、文字の中に映し出してくれるのです。



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