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話す座禅、黙す座禅。あなたの好みは?

座禅には二種類あります。

 臨済宗と曹洞宗には、座禅にも異なる特徴があります。基本は同じですがそれぞれに作法や思想が盛り込まれていますので、まずは違いを少し紹介しましょう。

 まず、『臨済宗』の座禅は看話禅(かんなぜん)と呼ばれ、有名な人物に一休禅師がいます。

 とんちの一休さんはあなたもご存じのことと思います。ふすまに描かれた虎を捕まえるために、後ろから追い立ててくれと言ったり、橋を渡ってはいけないと言われたら、真ん中を渡ったり。

 これらは江戸時代に作られた説話ですが、公案と呼ばれる厳しい問答が重視される、臨済宗の気風を表しています。

 以前に私が取材をさせて頂いたお坊さんの話によると、それは「台所から無を持ってこい」と言った、難解で理不尽にも思える問いかけが続くそうです。「禅問答」とはちぐはぐでわかりにくいやりとりという意味もありますが、まさにそうした矛盾に満ちた問いに取り組み、悟りの道へと到達していきます。

 一方、『曹洞宗』の座禅は黙照禅と呼ばれています。九年間坐り続けた達磨大師のように、壁に向かって黙々と坐り続ける面壁座禅が基本です。

 曹洞宗の開祖道元の教えに「只管打坐(しかんたざ)」という言葉がありますが、これは坐ることに意義を求めず、ひたすらあるがままに座禅に打ち込む姿勢が説かれています。

 仏になるのは厳しい修行の成果ではなく、すでに坐った姿がそのまま仏の姿という思想で、この言葉はそれを体現しています。

 一般の私達が座禅会に参加するとき、両者の最も分かりやすい違いは、人と人とが向き合って坐るか、それとも壁と向き合って坐るかです。

 臨済宗の座禅会では座禅者同士が向かい合い、曹洞宗では壁を前にして坐ります。また臨済宗の座禅会では問答が行われることはありませんが、言葉を尽くす禅風からか、座禅が終わると法話を聞かせて頂けることも多いです。

 言ってしまえば、坐る向きの違いだけとも(少なくとも素人の私たちには)言える二宗の座禅。しかし両方試して見ると、どちらが集中できるかは人によっても違うでしょう。

 ちょっと慣れてきたら、好みの形式で。宗派の違いで座禅を選んでもよいかもしれません。



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