だるまさんに足がないワケ
座禅が生まれ、日本に伝わるまで
禅はもともと、インドの香至(こうし)国王子で六十歳で中国に渡り、禅を形作るための修行を行った達磨大師によって確立されました。
「だーるまさんが転んだ!」「だるまさん、だるまさん、にらめっこしましょ」などと、昔からある遊びにも名前が出てきますが、この達磨大師は結構強烈な人です。
九年間もの間、壁に向かって坐禅をし続けたことは有名で、商売繁盛や合格祈願などに用いられる縁起物のだるまさんも、実は坐りすぎて足と身体が一つになったという俗説に基づき、あの姿をしています。
また弟子の慧可(えか)は達磨大師の教えを請うため、自分の腕を切り落としてその覚悟を示すなど、まさに禅宗が持つストイックな世界が形作られる器となったような伝説が残されています。
そして日本に禅の思想が伝えられたのは主に鎌倉時代(それ以前にも最澄などが持ち帰ってはいますが)ですが、この無骨な精神性が武士達の気概に合い、室町時代の武家社会到来と相まって、大きな広がりを見せました。
日本で禅宗と呼ばれる宗派には臨済宗と曹洞宗(他に江戸時代に伝えられた黄檗宗)がありますが、臨済宗は栄西が、曹洞宗は道元が開祖となり、どちらもこの時代に誕生しています。
ちなみに栄西はお茶を日本に伝えたことでも有名であり、道元は精進料理の心を説いたことで知られています。お坊さんの名前だけではピンと来ないかもしれないので、食文化と一緒に覚えれば分かりやすいかも(ちなみに黄檗宗を伝えた隠元は、インゲン豆を中国から持ち寄りました)。
|
|
|