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宿坊サミット

■第2回 宿坊サミット 概要

 日時2009年2月18日(水) 13~20時
 会場鳳明館森川別館(東京)

参加宿坊

弘仁寺(新潟県)、玉照院(長野県・善光寺)、お宿諏訪(長野県・戸隠)、大陽寺(埼玉県)、駒鳥山荘(東京都・御岳山)、宿坊 かげゆ(神奈川県・大山)

 企画

宿坊研究会 ・ 株式会社ジャパンスタイル


■ 宿坊サミット レポート

鳳明館森川別館
鳳明館森川別館


 2007年に第1回が行われ、その後に新しい旅行の作成や各種メディアからの紹介、インターネット活用の最新動向に関する情報共有、さらには地域の違う宿坊同士での縁談成立など、多くの成果を挙げた宿坊サミット。

 第2回は前回よりさらに有意義な情報が得られる場であることをテーマに、宿坊と今後関係の深まりそうな分野の専門家に4名お越し頂き、それぞれ講演をお願いしました。

 会場は前回のお洒落空間、六本木のホテルアイビスとはうって変わって、歴史と文化が詰まった東京・本郷にある旅館「鳳明館」の森川別館。すぐ目の前には関東大震災や東京大空襲をも乗り越え、老朽化から取り壊しの話が出ているものの、その歴史的価値の高さから保存プロジェクトも立ち上がった「本郷館」などもある、昔ながらの町の中で行われました。

司会 堀内
司会:宿坊研究会 堀内


 今回の講演テーマは、以下の4つ。

 1.「鳳明館のネット販売事例(Hostel-world)」
    鳳明館 小池邦夫氏

 2.「地域振興ソリューションとしての非接触型ICカード」
    フェリカポケットマーケティング株式会社 木下壮平氏

 3.「精進料理について」
    是食キュリナリーインスティテュート 棚橋俊夫氏

 4.「検索するWebから体験するWebへ」
    田丸文崇氏


 宿坊を文化的側面と経営的側面の2点から捉え、この2つを両輪として発展させていくことを目指している宿坊サミットとしては、マーケティング、技術の最新動向、そしておもてなしの精神面など、どれもとてもためになる講演内容になりました。


 【鳳明館のネット販売事例(Hostel-world)】

鳳明館 小池邦夫氏
鳳明館 小池邦夫氏


 まずは会場ともなっている鳳明館の代表取締役、小池邦夫氏が登場です。

 サブプライムローン問題に端を発した100年に1度の世界大不況、そして急激な円高による海外からの日本旅行需要の冷え込み。

 そのような時勢にもかかわらず、ネットの宿泊販売で大きな伸び率を保ち続ける「Hostel-world」の事例をご紹介いただきました。

 なかでもキーワードは「Free Individual Travel」。既存のパッケージツアーに頼らず、個人の目的に合わせて動く自由旅行において、必要なのは至れり尽くせりで何でもそろう三ツ星のホテルではなく、たとえ不自由であろうと言語が通じなかろうと、本物の体験を用意しておくこと。

 日本各地の取り組みから海外の事例まで、深い見識に基づくダイレクトな情報は、今後の宿坊にとっても考えるべき方向性を示して頂いたものと思います。


 【地域振興ソリューションとしての非接触型ICカード】

フェリカ 木下壮平氏
フェリカ 木下壮平氏


 続いてのテーマは非接触型ICカード。SuicaやEdy、nanacoなど、現在は多くの電子マネーカードが生活に溶け込んできています。これらの非接触型ICカードの技術に使われているのがフェリカです。

 そしてこのフェリカは単なる電子マネーとしてだけでなく、人の流れを把握してサービス向上を図るマーケティングツールとしても活用できます。

 例えば地域のお祭りに集まった人は、どんな順番でお店や施設を訪れるのか。どこで途切れるのか。

 海外から来た旅行者はどの地域を結んで動いているのか。こうした情報を直接に収集できるのがフェリカです。

 今回はそれらの導入事例を一つ一つご紹介いただきましたが、例えば無人のお寺が含まれている霊場巡りなど、参拝者が訪れたことが分かるツールとしても利用できるなど、多くの意見が飛び交いました。


 【精進料理について】

是食 棚橋俊夫氏
是食 棚橋俊夫氏


 先の二つは集客やマーケティングに関わるお話でしたが、少し休憩を挟んで行われた棚橋氏の講演で、前半とは違った緊張感が会場を覆いました。

 テーマは「精進料理」について。

 棚橋氏は滋賀県の月心寺庵主 村瀬明道尼に師事して精進料理を学んだ後、表参道に精進料理の店「月心居」を構えた精進料理の達人です。

 NHK朝の連続テレビ小説「ほんまもん」の料理監修を務め、現在は「是食(ぜくう)キュリナリーインスティテュート」を立ち上げて野菜の素晴らしさを国内外に発信するなど、精進料理の心を伝える活動を取り組まれています。

 人をつなぐのは「食」である。料理屋は「働き損、尽くし損」など、一つの道を歩み続けたからこその重みで語られる、力の籠った言葉が印象的です。宿坊の方にとってはもちろん、会場にいた全ての人にとっても(もちろん宿坊研究会にとっても)、深く胸に突き刺さるメッセージでした。


 【検索するWebから体験するWebへ】

田丸文崇氏
田丸文崇氏


 そして最後は、Web技術の最新動向。ある意味で最も歓声の沸き起こった講演です。

 そもそもこの講演に先立って、バーチャル座禅堂の撮影を大陽寺で行ってきました。

 このバーチャル座禅堂とは、上下左右・天地に渡る360度全てを写した写真を、Web上にて表示させるプログラムのことです。

 バーチャル座禅堂はマウスでクリックするだけで座禅堂全体が見渡せ、その場を歩くように移動できるなど、これまでの平面写真にはない臨場感を伝えてくれるプレゼンツールになっています。

 先月にお台場で行われたトークライブ「宿坊ナイト」でも好評を博したこの写真ですが、今回もその革新性には感嘆の声が漏れ聞こえました。

 さらにすごかったのは、この画像作成が特別なスキルを必要とせずに、誰でもすぐに作れてしまうこと。田丸氏が講演中に撮影した写真を持ち込んだノートPCで加工し、あっという間に「バーチャル宿坊サミット」が出来上がった時には、まさにインターネットの次世代系を見た思いがしました。

 今は不動産を中心に展開しているこのソフトウェアですが、観光に波が押し寄せるのも時間の問題かもしれません。まさに早い者勝ちの技術でした。


 【サミットの風景】

宿坊サミット1宿坊サミット2休憩中
 宿坊サミットには各地の宿坊の方はもちろん、旅行業界、寺社旅の活動家、取材に訪れた各種メディアの方々など、非常に密度の濃いメンバーにご参加いただきました。講演中は皆真剣にメモを取り、意見が飛び、そして休憩中には名刺交換をしながら新たなコネクションが築かれるなど、まさに宿坊の未来を見据えた会になりました。


 【懇親会】

懇親会1懇親会2懇親会3
 そして宿坊サミットが終わると、最後に鳳明館の別室に移り懇親会へ。各地から持ち寄ってくださったお酒なども振舞われ、大いに盛り上がりました。もちろんただ楽しく話しただけでなく、真剣な意見交換あり、実際に協力関係を約束する宿坊ありで、懇親会が一番ためになったというご意見もあったほどです。

 そして御岳山の馬場さんからは前回の第1回宿坊サミットが縁となり、御岳山と戸隠の宿坊で縁談が持ち上がり、先日に結婚されたことのご報告もありました。これは宿坊サミットを始める前は予想もしなかった出来事でしたが、とても嬉しいお話です。

 宿坊サミットはまだまだ始まりにすぎませんが、これをきっかけに宿坊の輪が広がっていけば何よりのこと。今後に向けて最高のスタートを切った一日でした。


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