お勤めとは
お勤めとはお寺で行われる法要のことです。たいていは早朝、お寺の住職やお坊さんたちによって、仏壇の前でお経が唱えられます。
一言で表せばそれだけの行事ですが、宿坊ではたいていこのお勤めに参加させて頂く事が可能で、実際に出てみるとこれがとても奥深いものだということが分かります。
まずお経を唱えるといっても、唱え方は宗派やお寺により様々です。唱えるお経も般若心経や阿弥陀経、妙法蓮華経、御文、和讃、念仏、題目、真言などといろいろですし、それらを黙々と唱えるお寺もあれば、木魚や鐘、大太鼓を盛んに打ち鳴らして、節を取りながら詠ずるところもあります。お経を唱えるだけじゃなく、お堂の中で天井に炎が届きそうな勢いで護摩焚きを行ったお勤めもありました。
また宿坊宿泊者のお勤めでの役割も、お寺によって全く違います。例えば単にお坊さん達が唱えるお経を後ろで聞くだけのお寺もありますが、大抵は参列者にお焼香するよう進められたり、経本を渡されて一緒にお経を読んだりと、なにがしかの参加が求められます。
またお勤め中に参加者やその家族、先祖代々にお祈りの言葉を唱えて下さることもあれば、普段は見ることが出来ない秘仏がご開帳され、間近で拝観させて頂けたりということもあります。そんな時には普通の観光客では決して入れない領域にまで、足を踏み入れたような気分になります。
そしてお勤めが終わると今度は住職さんや他の参加者と歓談したり、朝粥が出されてみんなで頂いた宿坊などもありました。
こんな特別な体験の出来るお勤めですが、もちろんこれは楽しいばかりのエンターテイメントではありません(あたりまえですが……)。仏と向き合う神聖な場であり、もっと言えば自分とも向き合える場です。
まずお勤めは早朝に行われます。早いところで5時前、遅くとも6時には始まることが多いです。参加しようと考えるなら、早起きは必須でしょう。
次に長い時間(だいたい30分くらい)正座をしていなくてはいけません。正座を強要されたことはありませんが(むしろ楽にしていていいよと言って下さることもありますが)、出来れば正座はしていた方が良いでしょう。正座をすることでお勤めに対する心も引き締まりますし、程よい緊張が保てます(じゃないと、朝早いので寝てしまいます)。正座は苦手という方も、最初から諦めずに少しだけ頑張ってみましょう。きっとお勤めが終わった後に、充実感で満たされることと思いますよ(私はいつもお勤めが終わると足が痺れて立ち上がれずに、その辺でもがいていますが)。
ただし足や膝の悪い方は無理をしない方がいいでしょう。座布団に座っているのも難しい場合、椅子を用意して頂くなど事前にお寺の方に相談してみることをお勧めします。
お坊さん達の読経は、さすがに毎日鍛えられているだけあって、腹の底にずしりと響く重さが伝わってきます。声質は違いますが、オペラ歌手の歌にも通じる気持ち良さがあります。早朝の清々しい空気を吸い込み、お寺に泊まった実感が何より得られる瞬間です。お勤めは自由参加であることが多いですが、せっかく宿坊に泊まるのですから、皆さんも是非一度お勤めに参加してみて下さい。
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