泊まる前に知っておきたい、宿坊を3倍楽しむコツ
宿坊の七つの長所
(六)美しい建築や日本庭園がある
宿坊は有名寺社やその周辺に備わっていることが多く、建築や庭園の拝観を楽しみに宿泊する人も多いです(私もその一人)。
建築で言えば京都の宿坊はすでに幾つか触れていますが、他の地域では例えば長野県の善光寺門前には、39軒の宿坊があります。
善光寺本堂は江戸中期の仏教建築を代表する伽藍で、敷地面積では国宝建造物の中で奈良の東大寺大仏殿、京都の三十三間堂に次ぐ三番目の大きさがあります。縦棟と横棟が組み合わさり、T字型をしていることから撞木造り(撞木は鐘などを叩く槌のこと)と呼ばれる独特の建築様式で、宿坊に泊まると住職や公式参拝案内人などに、内部をガイドしていただくことができます。
また鳥取県の三佛寺には三軒の宿坊がありますが、このお寺には投入堂(国宝)という有名な建物があります。
切り立った崖の大穴に埋め込まれた建物で、修験道の開祖役小角(えんのおづぬ)がお堂を放り投げて崖に入れたという言い伝えがある、かなりびっくりな建物です。宿坊からさらに深い奥山へと入ったところにあり、辿り着くには時間がかかるだけに、宿泊しての参拝は余裕が持てます。
高野山は宿坊自体が文化財の宝庫であり、国宝多宝塔を初め貴重な建物が並ぶ金剛三昧院、朱塗りの美しい重文指定の四脚門を持つ普賢院など、他の地域では考えられない豪華な宿坊が集まっています。
私自身は建築に興味を持ったことがきっかけで、お寺巡りをするようになりました。機能とデザインを兼ね備えた日本建築の美しさには、鳥肌が立つほど心惹かれることがあります。宿坊巡りも、そうした建築巡りの旅を兼ねていることが多いのです。
庭園もまた同様です。枯山水の枯淡の美には海外にもファンが多く、池泉式庭園の輝く光の色具合には、日本の四季が映し出されます。
庭園のある宿坊としては岩手県の毛越寺がダントツで際立っていますが、やはり高野山には千坪をこす大庭園など、他の追随を許さない豪華さがあります。
他にも千利休が作庭した奈良の吉野にある竹林院「群芳園」、京都の妙心寺大心院にある「阿吽庭」など、宿坊で出会う名園・名庭は、数え上げたら切りがありません。
そしてちょっとした小庭園、名もない名建築に出会えるのも宿坊の良さです。宿坊に泊まったら、ぜひ目を皿のようにして探してみてください。
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