宿坊研究会 〜座禅・写経・精進料理など、楽しさ満載!〜  
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泊まる前に知っておきたい、宿坊を3倍楽しむコツ

宿坊でしかできない仏教・神道体験!

(十二)寺社イベント

 宿坊をより楽しく利用するためには、お寺でイベントが行われているときを狙って泊まるのも良いものです。私は比叡山延暦寺にある宿坊に大晦日に泊まったことがありますが、この日はものすごい興奮を味わうことができました。



 比叡山では年末に『鬼追い式』が行われます。これは一種の劇のような構成の儀式で、次々と襲いかかる鬼たちを僧が調伏していくストーリーとなっています。

 まず比叡山の総本堂、根本中堂で修正会(しゅしょうえ)があり、法話が終わると銅鑼や鐘、鈴を鳴らして堂内の鬼を追い立てるところから始まります。この音がまず飛び抜けた大音量で、これだけの音に追い立てられた鬼たちは、根本中堂前の広場へと退散していきます。

 参拝者達もそれに合わせて移動し終わると、今度は錫杖を持った僧が現れ、「笑」、「怒」、「泣」、「無明」の四匹の鬼と対峙します。笑い鬼はおどけたように身体を揺さぶり、怒り鬼は力一杯棍棒を振り回し、泣き鬼は時折目に腕を当てて泣いた仕草を見せながら、戦いの場面が繰り広げられます。

 アクションを交えて僧が錫杖で一匹一匹打ち倒すと、最後に一番悪いとされる無明の鬼が立ちふさがります。これを倒すことで一年の厄を払い、除災招福が祈られるのです。

 明々と燃やされた炎の中に、世俗から切り離されたおとぎ話のような時間が流れていきます。地元の人間以外はこんな夜遅くに行われる儀式は、宿坊にでも泊まらなければ見ることができないでしょう。それは街から離れた山上に集まった人たちだけが共有した、夢物語のようなものでした。

 さらに鬼追い式が終わると、参拝者の額に牛王印が押されます。これは蓮の葉の上に梵字が描かれたスタンプのようなものですが、額に押すことで身体健康・諸願成就の祈願となります。

 そして最後に大講堂前で除夜の鐘が始まり、宿坊宿泊者は事前に頂いた整理券で、優先的に鐘を突かせて頂くこともできるのです。

 五人一組で突く巨大な鐘は、力一杯叩くと空気を通してビリビリと衝撃が返ってきます。そのくらい叩き甲斐のある鐘が、一年の最後を締めくくってくれます。宿坊では年越しそばやお節料理も振る舞われ、まさにフルコースの二年詣りが楽しめます。

 もう一つ、善光寺のご開帳も紹介しましょう。

 長野県の善光寺では七年に一度、前立本尊のご開帳が行われています。

 善光寺の本尊阿弥陀如来は絶対秘仏とされ、お寺の住職ですら見ることは許されていません。しかも身代わりとして前に立つ「前立本尊」ですら秘仏化され、七年に一度しか見ることができないのです。

 それほど厳重に人の世から隔離された仏であり、それだけにその霊験は信じられています。

 七年に一度のご開帳は極楽浄土へと導いてくれる阿弥陀様との特別な縁を結ぶ日とされ、平成15年のご開帳では56日間で600万人を超える参拝客が訪れました。

 私もこのご開帳時に参拝しましたが、その混雑は想像を絶しています。

 善光寺本堂には真っ暗闇な回廊を手探りで歩き、奥にある極楽の錠に触れることで仏様と結縁する戒壇巡りというものがあるのですが、そこはすでに長蛇の列です。ディズニーランドの人気アトラクションにも匹敵する、1〜2時間の待ち時間は並ではありません。

 しかしここでも宿坊宿泊者はその特権が活かされたのです。

 善光寺の宿坊に泊まると、早朝に本堂で行われるお朝事の案内をしていただくことができるのですが、お朝事が終わった後に私たちは真っ先にこの戒壇巡りに入らせて頂くことができました。

 おかげで待ち時間はほぼゼロ。戒壇巡りから出てきたときには朝もまだ早いというのに、巨大な本堂をぐるりと囲むほどの列が出来ていたのですから、このときは本当に宿坊に泊まって良かったと思った瞬間でした。

 宿坊ではこのように、イベントのときにこそ泊まってみたい場所もあります。また宿坊自体がイベントを開くなど、気をつけて見てみると楽しさはさらに拡がります。

 イベントを狙え! これは宿坊を極めるキーワードです。




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