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(四)精進料理 -1

 一つには功の多少を計り、彼の来処を量る
 二つには己が徳行の全欠を忖って供に応ず
 三つには心を防ぎ、過を離るることは、貪等を宗とす
 四つには正に良薬を事とするは、形枯を療ぜんがためなり
 五つには成道の為の故に、今この食を受く



 これは、『五観の偈(げ)』と呼ばれる経文です。お寺の食堂や箸袋にこの言葉が書かれていたり、実際に食事の前に読むこともあります。

 一文目は目の前にある食事がどのように作られたか。料理人がどのように料理し、その食材はどのように畑で作られ、または山で芽吹いてきたのか。

 生きていたものを頂くことを想像し、多くの人の労力を経て食事として並んだことを考えること。そうした意味が込められています。

 二文目には自分がそうして目の前に並んだ食事を頂くに相応しい行いをしてきたか、三文目には欲のままにむさぼり食うのではなく、今この瞬間にしっかりと感謝をしながら食事を頂くことが説かれています。

 そして四文目には食事を頂くことは自分自身の命を保つための手段であり、けっして欲を満たすために食べるのではないこと、五文目にはその命を保つのは仏道を成し遂げるためであることを誓う言葉です。

 私はこの最後の五文目は、自分の夢や目標、やらなければならないと心に決めていることを成し遂げることと拡大的に解釈していますが、この五観の偈では料理を通した命の繋がり、自分自身の過去の振り返りから未来への決意までを読みとることができます。

 精進料理は近年、究極のヘルシー料理として高い地位を得ています。

 整腸作用があり、コレステロールを吸着して排出したり、糖の吸収を遅らせる食物繊維。風邪などに対する抵抗力を高め、活性酸素の生成を抑制して細胞の老化を抑える各種ビタミン群。骨や血液を構成する成分となり、身体の機能を正常化するミネラル。

 どれもこれも動物性食品を中心とした現代食生活では、不足しがちな栄養素に挙げられます。

 加えて質素なだけと考えられていたメニューにも、実は一流料亭に負けない味と工夫と伝統があることが知られ始め、精進料理は爆発的な人気が出ています。

 宿坊での夕朝食はもちろん、お昼ご飯として精進料理を頂けるお寺も多数ありますが、評判のお寺には何ヶ月も前から予約が殺到しているほどです。




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